ごほうびおひとり鮨とは 
原作 早川光 漫画 王嶋 環 著書
集英社 出版
全5巻 (完結)
あらすじ
31歳になったOL「伊崎 藍子」は10年以上付き合っていた彼氏に突然の別れを告げられる。
この話を会社の後輩にしたところ「チャンスですよ!今ならどんな贅沢しても許される!」「どうせ結婚資金の為に貯金してたんでしょ。」と言われる。
取引先の「子安」さんに子安さんにとって一番の贅沢はなんですか?と尋ねたところ間髪入れず「寿司ですね。」と返され、とりあえず気になっていた会社近くの高級寿司屋に足を運んでみることにした。
初めての高級江戸前寿司に戸惑いつつも一口そのお寿司を食べるとみるみるその虜に。
大将との会話で今まで知らなかった寿司の知識と美味しさを知り、自分の中の寿司の概念が覆されていく。
それから他の寿司屋も気になって行き人気の寿司レビューを探すと「よだれ5リットル」というハンドルネームで数々の寿司レビューを上げているレビュアーに出会い、彼のオススメの寿司屋に行くことに。
お店それぞれのこだわり、そして謎の「よだれ5リットル」氏とは誰なのか。
読むとお寿司が食べたくなる。そんな漫画です。
ごほうびおひとり鮨の魅力
全5巻の間に主人公「藍子」は25件の江戸前寿司屋さんに行きますが、それぞれのお店でこだわりが違ければ味も雰囲気も違ってきます。
正直高いお寿司の良さとかよくわかんない私にとって、適度に生臭く無くてたくさん食べられる「回転ずし」以上の物は望んでいませんでした。
ですが「Pixivコミック」でこの漫画を読んだとき藍子の美味しそうな食べっぷりに急激に「高い寿司」への関心が生まれました。

「やっぱり高い寿司って安い寿司と全然違うの?」
結婚指輪を買いに銀座に行った時に思い切って銀座のお寿司屋さんのランチを食べに行きました。(夜はさすがに高すぎるし、私達夫婦はお酒が飲めないので敷居が高く感じたので)
カウンターしかないお店に客は私達だけ、大将の目の前の席に通されました。
正直な感想を言うと美味しかったけど緊張してあんまり味がわかんなかった。あと少ない。
私達とほぼ入れ替わりのようにしてまた別のお客さんが来ましたがそれまでは対象と私達夫婦だけ、当時24歳で初めての「銀座のシースー」に緊張しまくって美味しくても正直に美味しいと口に出すのが恥ずかしい。どこがどう美味しいなんて感想を言って見当違いな事言ったら嫌だという気持ちが大きくほぼ無言で出て来た寿司をひたすら口に運ぶだけの私達(笑)
しかし寿司はわさび醤油で食べる物と思っていた私ですが、「味が付いているのでそのままどうぞ」と出されたお寿司の中には塩と柑橘の(たぶんスダチ)香りで食べる物も。
しかしそれがまたお魚の繊細な甘みや味を引き出してくれて、こんな食べ方が有るんだと驚きました。
私はあんまり生魚が得意では無く、生臭いのが苦手でそもそもお寿司もそんなに得意では無いのですが、この時出されたものはどれも癖のない物ばかりで全部美味しく食べられました。
でも少ない!!
そのあと食べたりなくて別のお店に入ってランチはしごして帰りました。
でもご褒美おひとり鮨に出てくるお寿司屋さんはランチでも15貫前後有り、先出なんかも出てくるところも有ったりでお腹いっぱい食べられそうな場所ばかり。
しかも藍子は物おじせず自分の感想を大将に伝えて、その返事として色んな知識を返してもらっています。お店の人からしても思ったことを口にしてもらった方がやりやすいのかもしれませんね。
ネタも「トキシラズ」や「シンコ」「アオヤギ」「カスゴダイ」「カマス」など聞いたことないお魚が沢山!読んでると私は食べられるかなぁ・・・と思うような物も出てくるけど「藍子」が一品一品に正直な感想と一緒に美味しそうに食べてくれるので「食べてみたい!」となります。
「大トロ」なんかは大体どの店でも出てきますが、藍子の反応は店それぞれで変わっていて、同じ魚の大トロでもお店の人の目利きや包丁の入れ方なんかで味わい方が変わってくるもんなんだなぁと感じました。
一つのお店で「全編」「後編」に分かれていて、2話読んで1件分ですが、1件分終わるとそのお店の詳しい詳細や今回食べたお寿司の内容と、お値段が乗っているので「ここ行ってみたい!」となった時にわかりやすくてとてもいいです。でも中には閉店しているお店も有るので事前に自分でも調べておくと良さそうです。
私は今妊娠中で生魚が食べられないのですが、藍子が食べているのを見て自分が食べた気になったり、もっとお寿司が食べたくなったり・・・
この漫画を読むとお寿司が食べたくなるので、お寿司が食べられる状態の時に見るのをお勧めします。
とりあえず私はお稲荷さん食べてお寿司を食べた気になっておきます。
